COVID19影響下の世界の航空会社の苦悩・ブルームバーグニュース解説

雨模様のニューヨークJFK空港到着時:2019,8月撮影

新型コロナウィルス によるロックダウン

カリフォルニアは殆どのビジネスや学校などはクローズして6週間以上経っています。事実上都市機能停止状態(ロックダウン)で、我々の生活や仕事はこれからどうなってしまうのか、大不況は来てしまわないのか、皆んな不安を抱えながら、とにかくウィルスが遠ざかってくれるのを待つ日々です。
今朝起きたら、ブルームバーグニュースの世界の航空会社の記事がメールで入ってきました。私たち一般人の目に見えないところでも各航空会社が昼夜を問わず必死で飛行機を守っている様子が綴られており、興味深かったので、ちょっとここで解説してみようと思います。英語のオリジナルの記事はこちらからご覧いただけます。直訳ではなく、ポイントを絞った意訳となっています。

ブルームバーグ・ニュース記事より

現在世界では16.000機以上の旅客ジェット機が地上待機中である。駐機場にはもう空きがなく、飛行機同士は羽の先をくっつけ合うようにして斜め駐機。駐機スペースの確保とメンテナンスが図らずも2020年の最優先事項となった。

飛行機は、飛行解禁になったらさっと埃を落として直ぐに再活動できるようなものでは無い。駐機上に保管されている間も、油圧関係のメンテ、フライト・コントロール・システムの管理、エンジン内に虫が飛び込んだり鳥が巣作りしたりするのを防ぐ処理、機内の湿度除去、ガソリンタンク内を潤滑させ続けるなど、仕事をあげたらキリがない。

世界の旅客飛行率は過去26年間で最悪である。旅客機はもう殆ど飛んでいないか全く飛んでいない状態。国際航空運送協会は飛行機の旅客による収入が1兆ドルの1/3ほどに減少する可能性があり、2,500万人の雇用が危険にさらされていることを警告している。

飛行機は、その羽を鳥の様に閉じることが出来ないからジャンボジェットの駐機には大きなスペースが必要だ。KLMオランダ空港のコミュニティー・マネージャーは語る「アムステルダム空港は満杯だ。残念ながら満杯というのは旅客機利用者でなく駐機する飛行機で満杯なのだ。200機もの飛行機が、もう路肩や滑走路にまで駐機し駐機場はパズル状態」ここの空港では”駐機代”は取っていない。

この駐機代は各空港によって差がある。ドバイの”マーティン・コンサルティング”会社社長によると、インドの空港では大型旅客機は1日に1000(10万強)ドルの駐機代を取るとのこと。大型旅客機を250 以上所有してる航空会社なら大幅な割引があるとしても、メンテナンス代を入れずに6ヶ月間の駐機で1250万ドル(13億円強)もの駐機代がかかるそうだ。
政府に駐機代の免除要請を出すところもあるが、このままでは航空会社の存続が危ぶまれる。

アブダビのエティハド航空

アブダビ拠点のエティハド航空では昼夜に渡り技術士達が働き続けている。シートを新しくしたりカーペットをシャンプーしたり、1シフト毎に200名ものスタッフが機内のメンテナンスに従じている。この記事はエティハド航空のツイッターにツイートされた動画で解説されている。同航空会社の技術部長は言う「飛行機は本当に複雑で細かな機械の集まりでできている。普通の自動車を駐車場に停めるように簡単には行かない」と。
飛行解禁になった時に、すみやかに最高の状態で再びお客様を迎え入れられるように毎日必死でメンテナンスを行っているのである。

オーストラリアのカンタス航空

オーストラリアのカンタス航空では、ボーイング737からエアバスA 380まで全てのジェット機のタイヤのロテーションも必要だ。(飛行機をジャッキアップさせて!)1〜2週間に1度は、着陸用のギアが錆び付かないように油をささねばならず、超巨大な”シリカゲル”のパックをエンジン内に入れてエンジンが湿気でやられないようにする必要があるし、外部に面している全ての穴は、虫が入らぬように、又は鳥が巣を作らぬようにカバーで覆わなければならない。
カンタス航空では200機以上がオーストラリア国内のあちこちに駐機している。オーストラリアはアジアなどに比べると湿度が低い分飛行機の保管状況に恵まれた気候にあるのでラッキーだ。

インドのエア・インディア

インドのエア・インディア航空では駐機スペースは現在70機分ほどだが、100機ほどまでに拡張する予定だ。駐機エリアは混ぜこぜ状態だが、今週か今月中には更に飛行機がやってくる予定だ。

アジア・パシフィック

(本社は、カリフォルニアの私の家から20分ほどのところにある)貨物航空会社アジア・パシフィック(本拠地はグアム)は空港貨物ビジネスで急成長を遂げている会社だが、インドネシア、マレーシア、インド、ベトナムその他の国から航空機を格安に買い込み商用機として使用している。巨大なボーイング機やエアバスの購入予定もあったが、COVID-19のおかげでそれは中止された。

フィンランドのフィンエアー

(私もたまに利用する)フィンランドのフィンエアー航空はフィンランドの首都ヘルシンキを拠点にしているが、幸いここはまだキャパシティーが足りている。フィンエアーの飛行機は、2週間毎にバッテリーが上がらないように接続し直したり、月1回保護カバーを外してエンジンを回し、エアコンや凍結防止システムをチェックしたりしなければならない。フィンエアーの副社長の話によると、飛行機の長期駐機で大きな問題となるのは、ブレーキが24時間以内に弱ってしまうこと」だそう。1機につき10から12個の車輪止めを使用する。フィンエアーでは地元の大工業者に500個の特別な”コロナ用車輪止め”を発注した。

ブリティッシュ・エアウェイズ

BA=英国航空は、所有する12 Airbus A380 の半分をフランスのシャトールーに駐機させた。フランスとスペインに機体保管スペースを所有するターマック・アエロセーブ社は、より多くの飛行機保管のリクエストに応えるべく奮闘している。またComAv社では、ロサンゼルスの北東にあるビクターヴィルの南カリフォルニア物流空港の施設にて保管スペースに対応しようと頑張っている。

まとめ

インドのニューデリーのように飛行場が飛行機で埋まってしまっているような所では、もう滑走路にまで飛行機を駐機させてしまっている。

Go Airlines India 社のコンサルタントおよび技術責任者は「制御面、電子機器、油圧システムなどで飛行機の長期保管は耐空力に影響を及ぼす。 飛行機の保管は乾燥かつ高温の環境が理想的。 現在世界中に駐機されている飛行機は、このことに充分注意しなければならない。」

全世界の飛行会社は、旅行者が旅行出来ない今、存続の危機を迎えています。飛行会社の損失は何十兆円とも言われています。そして乗客が居なくてもこのように飛行機を停めて置くだけで1日毎に大変な額のお金が飛んで行くのです。
私は昨年まで、飛行機に乗る回数は1年で20回以上。航空会社や飛行機には本当にお世話になっているので、これらの航空会社が再び大空高く舞い上がっていってくれる日を祈る気持ちです。

ちなみに、お仕事が殆どなくなった客室乗務員の方々。多くの客室乗務員の方々は、最低限の医療知識などをお持ちのため、今人手の足りない病院などでボランティアで働いてくれていたりします。頭が下がりますね。

私のアイボーやアイボーの家族なども、フードバンクという非営利の団体にかなりの額を寄付したりしています。こちらでは公立学校では給食が出ます。しかし学校閉鎖の今、給食をあてにしているような貧しい家庭では子供達が満足に食事を与えてもらえず、そういう子供達に食事を配る慈善団体がフードバンクです。

現状を知って、そして何かの、誰かの助けが少しでも出来たら良いですね。

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